血管について

血管

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若さは血管です。

身体を若く、健康に保つための臓器を一つ挙げよ、と言われた場合の答えは、血管です。

もちろん、ヒトの臓器にいらないモノはなく、心の若さと健康は脳が、運動能力は骨と筋肉が、栄養の代謝は消化器などの内臓が維持しています。

血管がカギの握るのはなぜでしょう。皮膚を含めたすべての臓器に血液を循環させ、生きるために必要なO2と栄養、そしてホルモンなどのメッセンジャーを送り込んでいるのが血管だからです。

身体の衰えは血管から、と言っても過言ではありません。

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血管は動脈、静脈、毛細血管に分類できますが、ここで重要なのは動脈です。

心臓から送り出された血液を身体の隅々まで届ける力を持っています。

その力はどこから来るのでしょう。

その力は動脈の二つの成分によって維持されています。動脈は内膜、中膜、外膜の三層構造からできています。これらの構造のうち重要な二つの成分とは、内膜の内皮細胞と、中膜の平滑筋なのです。平滑筋は筋肉の一種です。一生力強く働き続ける心臓が平滑筋の固まりであることからわかるように、極めて安定な力を発揮する筋肉細胞です。

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さて、なぜ血管に筋肉があるのでしょう。

そうです、ここに、血管が若さと健康のカギを握る秘密があるのです。

実は、動脈は心臓から送り出された血液を流す単なる管ではありません。

運動する管なのです。

水道管やガス管とはわけが違います。

血管は縮んだり、広がったりという運動をすることによって、身体の要求に答えているのです。それが身体の若さを支えていると言っても過言ではありません。血管は、自律神経からの命令や末梢の状態に左右される血圧だけでなく、血流から伝えられる流れによる圧力(sheer stress)を感知します。

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血液は細胞やタンパク氏が豊富な液体なので、極めてスムースに流すことができなければ、血流が滞ったり、詰まったり、あるいは内皮細胞が傷ついたりします。すると、それを修復するための細胞が集まってきて、そこに炎症が起こります。炎症では腫れた状態になり、新しい細胞で置き換わるまで、その状態が続きます。血液は容赦なくそこを流れますから、場合によっては修復が完了せず、慢性に続く炎症状態となることがあります。するとそこには…、ここから先は、なんと関節リウマチと共通の病態が血管壁で起こることになるのです。慢性炎症が継続すると、血管の場合はコレステロールなどの脂肪が沈着しやすくなり、そこにまた炎症が起こるという悪循環を繰り返し、徐々に血管壁が肥厚し、最終的に硬くなって弾力を失います。動脈硬化の出現です。

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動脈硬化は、血管の炎症を繰り返すと、若年者でも進んでしまうのです。

硬化、つまり硬くなると何が困るのでしょう。血管は血流によるストレスに応じて柔軟に拡張することができなくなり、ますます詰まりやすくなります。血栓ができるとそれが身体中に飛んで末梢の血管が詰まってしまうのです。脳の血管で起こると脳梗塞、肺で起こるとエコノミー症候群とかつていわれた病態でよく見られる肺梗塞を引き起こしてしまいます。

動脈を若く保つためには、動脈に慢性炎症を起こさないように、あるいは炎症が起こってもすぐに沈静化させることが重要になります。

いかに血管の弾力性、つまり血流や血圧に応じた滑らかな運動性が重要かお分かりでしょう。それを司っているのが、内皮細胞と平滑筋の協調作業なのです。

では、内皮細胞はどうやって平滑筋を弛緩させて血管を開くのでしょう。

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内皮細胞のNOガス

内皮細胞の主な役割は血液をスムースに流すことです。血管の表面は、血液がサラサラと流れるように、スベスベの状態なのです。さあ、そこに大きなストレスがかかりました。ドンと塊のような血液が送り込まれたのです。すると、内皮細胞をこするようなストレス(ずり応力、あるいはsheer stress)が生じます。spacer

健全な内皮細胞はこれを感知してあるシグナルを放出します。それがNOガスです。気体状の一酸化窒素を細胞が出すとは驚きですが、速やかに伝わり、すぐに代謝されて消えるので、瞬間的なスウィッチとしては非常によくできたメカニズムなのです。われわれの血管はすごいですね。spacer

このNOは平滑筋に到達し、弛緩させます。つまり、血管が拡張するのです。必要がなくなれば短時間のうちに元に戻ります。動脈が弛緩したままでは、末梢に大きな負荷がかかってしまいますから調整が重要なわけです。

さて、お分かりのように、血流のストレスを感知する能力と、NOガスを即座に放出す能力、そしてそれに速やかに応答して血管を拡張する平滑筋の能力が、動脈に要求される極めて重要な運動機能ということになるのです。

言うまでもなく、若いヒトでは、この一連の反応が速やかかつスムースに起こっているのです。結果的に血液がとど起こりなく全身を循環し、肌をはじめとした身体全体が健康的な色と弾力を見せることができるのです。

ということは、若さは戸籍上の年齢ではないとも言えるかもしれません。

血管の運動機能こそが、若さを決めていると言えそうです。

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内皮細胞の炎症とリウマチ

さあ、大変です。動脈の内皮細胞周囲に慢性炎症が起こってしまいました。

そこでは一体何が起こるのでしょう。

最も中心になる炎症反応は、活性酸素ROSをシグナルとする炎症コアのループ反応です。(図を参照)。ROSはNFkBというファクターを介して、TNFaというサイトカインを増加させます。サイトカインはさらに炎症を加速すべく、炎症に関わる細胞を呼び寄せ、さらにROSを放出させます。それがグルグルと繰り返すので、ループと呼びます。この炎症コアのループを断ち切ることが、動脈の慢性炎症を抑え込み、ひいては動脈硬化を予防することになります。

Molecular Hydrogen: New Antioxidant and Anti-inflammatory Therapy for Rheumatoid Arthritis and Related Diseases

(引用:Molecular Hydrogen: New Antioxidant and Anti-inflammatory Therapy for Rheumatoid Arthritis and Related Diseases)

 

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最近、この部分にH2が大きな効果を発揮できる可能性が出てきました。

この炎症コアでは、動脈硬化の場合も、関節リウマチの場合も同じ反応がループしています。リウマチの患者さんで、肥満も糖尿病も、高コレステロール血症もないのに動脈行が急速に進行するのは、この炎症コアが血管にもできてしまうからなのです。

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リウマチのセクションに記載したように、H2がリウマチの慢性炎症を抑える力を発揮してくれるのがわかってきました。するとどうなるでしょう。炎症コアのROSから回るループは共通ですから、H2は、動脈硬化を引き起こす慢性炎症をもコントロールしてくれる可能性が出てきたのです。

このお話は、最新の論文に詳しく発表されています。

(論文:Consumption of water containing over 3.5 mg of dissolved hydrogen could improve vascular endothelial function)

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もう一度確認しましょう。

血管が若さを決めているのです。

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その若さを維持する、あるいは取り戻すためには、血管内皮細胞の機能を維持し、ROSによる炎症ループを断ち切ることが重要になるのです。

H2はそこにこうかを発揮してくれそうです。

H2は、血管を若く保つことによって、エイジングに対抗してくれると考えられます。

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ヒトの三大死因は、ガン、心疾患、脳血管障害で占められています。